数学オリンピック / 数論

合同式の基本

合同式は「余りが同じ」をまとめて扱う記法です。 大きい数でも、法を固定すると見通しがよくなります。

定義と読み方

整数 \(a,b\) と正の整数 \(m\) に対し、\(m\mid(a-b)\) のとき \(a\equiv b\pmod m\) と書きます。

このとき「a と b は法 m で合同」と読みます。

たとえば \(23\equiv3\pmod{10}\) は、\(23-3=20\) が \(10\) の倍数という意味です。

まず押さえる性質

  • \(a\equiv b\pmod m\) かつ \(c\equiv d\pmod m\) なら \(a+c\equiv b+d\pmod m\)
  • \(a\equiv b\pmod m\) かつ \(c\equiv d\pmod m\) なら \(ac\equiv bd\pmod m\)
  • \(a\equiv b\pmod m\) なら任意の自然数 \(k\) で \(a^k\equiv b^k\pmod m\)
証明を見る

\(a\equiv b\pmod m\) なら \(m\mid(a-b)\)、\(c\equiv d\pmod m\) なら \(m\mid(c-d)\) です。 よって \((a+c)-(b+d)=(a-b)+(c-d)\) も \(m\) の倍数なので、加法の性質が従います。

また \(ac-bd=a(c-d)+d(a-b)\) と変形すると、右辺はどちらの項も \(m\) の倍数です。 したがって \(ac\equiv bd\pmod m\) です。 べき乗は乗法の性質を繰り返し使えば示せます。

例題

例1:平方の余り

任意の整数 \(n\) について、\(n^2\equiv0\) または \(1\pmod4\) を示します。

解答を見る

\(n\) が偶数なら \(n=2k\) なので \(n^2=4k^2\equiv0\pmod4\) です。 \(n\) が奇数なら \(n=2k+1\) なので \(n^2=4k(k+1)+1\equiv1\pmod4\) です。

例2:大きいべきの計算

\(7^{100}\) を \(13\) で割った余りを求めます。

解答を見る

\(7^2=49\equiv-3\pmod{13}\) なので \(7^4\equiv9\pmod{13}\)、 さらに \(7^6\equiv-1\pmod{13}\) です。 よって \(7^{12}\equiv1\pmod{13}\) となり、 \(7^{100}=7^{96}\cdot7^4=(7^{12})^8\cdot7^4\equiv9\pmod{13}\) です。

例3:割り算ができる条件

\(6x\equiv9\pmod{15}\) を解きます。

解答を見る

\(3\) で割って \(2x\equiv3\pmod5\) にできます。 ここで法も \(15\to5\) に下がる点が重要です。 \(2^{-1}\equiv3\pmod5\) より \(x\equiv9\equiv4\pmod5\) です。 したがって解は \(x=4,9,14\pmod{15}\) です。

数学オリンピックでの使いどころ

  • 不可能性の証明(この形の数は作れない、など)
  • 場合分けの圧縮(余りごとに整理)
  • 二次剰余や原始根など、次の理論への入口

ありがちな失敗

  • 同じ式で法を途中で変える
  • \(ac\equivbc\pmod m\) から常に \(a\equiv b\pmod m\) としてしまう
  • 通常の等号と合同記号を混ぜる

約分は \(\gcd(c,m)=1\) のときだけ安全です。 ここを外すと誤答になりやすいです。

次に学ぶもの

  • Fermatの小定理とオイラーの定理
  • 中国剰余定理
  • 二次剰余と平方剰余の判定