数学オリンピック / 不等式

不等式の基本

不等式は、公式暗記より「条件の読み方」で差がつきます。 このページでは、最初の確認手順と、AM-GM・Cauchy-Schwarz・平方完成の使い分けをまとめます。

最初に必ず確認する3点

  • 変数の範囲(正の数か、実数全体か、整数か)
  • 等号成立がどこで起きそうか
  • 式の骨格(和・積・平方・分数)のどれが主役か

正の数条件を落とすと、AM-GMやEngel形を誤用します。 問題文に「正」と明記されていなくても、分母や平方根から自動的に制約が出ることがあります。

道具の使い分け

AM-GMが効く形

正の数で、和と積をつなぎたいとき。たとえば \\(x+\\frac{1}{x}\\)、\\(abc=1\\) など。

Cauchy-Schwarzが効く形

平方和や分数和を評価したいとき。たとえば \\(\\sum \\frac{x_i^2}{a_i}\\)、\\((a^2+b^2)(x^2+y^2)\\) など。

平方完成が効く形

2次式や対称な2変数式で、\\((u-v)^2\\ge 0\\) に落とせるとき。

例題

例題1(正の数条件の確認)

正の実数 \\(x\\) に対し、\\(x+\\frac{1}{x}\\ge 2\\) を示せ。

解答を見る

AM-GMより \\((x+\\frac{1}{x})/2 \\ge \\sqrt{x\\cdot \\frac{1}{x}}=1\\)。よって \\(x+\\frac{1}{x}\\ge 2\\)。等号は \\(x=1\\) で成立。

例題2(どの道具を選ぶか)

実数 \\(a,b\\) に対し、\\(a^2+b^2\\ge 2ab\\) を示せ。

解答を見る

平方完成で \\(a^2+b^2-2ab=(a-b)^2\\ge 0\\)。この問題はAM-GMでも示せるが、実数全体で即座に通るのは平方完成。

数オリで不等式が難しくなる理由

  • 1つの不等式を当てるだけでは足りず、2段・3段で評価する必要がある
  • 「等号が達成可能か」を最後まで追わないと満点にならない
  • 置換や対称性の利用が前提になることが多い

大学受験では「この形ならこの公式」の問題が多めですが、数オリは道具選択そのものが主問題になりやすいです。

ありがちな失敗

  • 等号条件を書かずに「最小値はこれ」と断定する
  • 対称式なのに、特定の変数だけを不自然に処理して破綻する
  • 分母の符号を確認せずに不等号を掛け算して向きを誤る