数学オリンピック / 不等式

AM-GM不等式

AM-GMは「和と積をつなぐ」基本不等式です。 数オリでは、式をどう分けるか、等号成立をどう回収するかまでが勝負になります。

定理と等号成立条件

2変数

\[ \frac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}\quad (a,b>0) \]

等号成立は \\(a=b\\)。

3変数

\[ \frac{a+b+c}{3}\ge\sqrt[3]{abc}\quad (a,b,c>0) \]

等号成立は \\(a=b=c\\)。

n変数

\[ \frac{a_1+\cdots+a_n}{n}\ge\sqrt[n]{a_1\cdots a_n}\quad (a_i>0) \]

等号成立は \\(a_1=\cdots=a_n\\)。

基本証明(2変数)

証明を見る

\\((\\sqrt{a}-\\sqrt{b})^2\\ge 0\\) より、\\(a+b-2\\sqrt{ab}\\ge 0\\)。

したがって \\(a+b\\ge 2\\sqrt{ab}\\)、両辺を2で割って \\(\\frac{a+b}{2}\\ge\\sqrt{ab}\\)。

等号は \\(\\sqrt{a}-\\sqrt{b}=0\\)、つまり \\(a=b\\)。

和固定・積固定の見方

  • 和が一定なら、積の最大は「できるだけ等しいとき」
  • 積が一定なら、和の最小は「できるだけ等しいとき」

これはAM-GMの等号条件と同じ方向です。数オリでは、この「等しくなるべき形」を先に予想して式変形することが多いです。

例題

例題1

正の実数 \\(x\\) に対し、\\(x+\\frac{1}{x}\\ge 2\\) を示せ。

解答を見る

\\(x,\\frac1x>0\\) なのでAM-GMより \\((x+\\frac1x)/2\\ge\\sqrt{x\\cdot\\frac1x}=1\\)。よって成立。等号は \\(x=1\\)。

例題2

正の実数 \\(a,b,c\\) が \\(abc=1\\) を満たすとき、\\(a+b+c\\ge 3\\) を示せ。

解答を見る

3変数AM-GMより \\((a+b+c)/3\\ge\\sqrt[3]{abc}=1\\)。よって \\(a+b+c\\ge 3\\)。等号は \\(a=b=c=1\\)。

例題3

正の実数 \\(x,y,z\\) で \\(x+y+z=12\\) のとき、\\(xyz\\) の最大値を求めよ。

解答を見る

AM-GMより \\((x+y+z)/3\\ge\\sqrt[3]{xyz}\\)。したがって \\sqrt[3]{xyz}\\le 4\\、つまり \\(xyz\\le 64\\)。

\\(x=y=z=4\\) で等号成立するので最大値は \\(64\\)。

数オリと大学受験での違い

大学受験では、AM-GMを1回当てれば終わる問題が多めです。 数オリでは、どの項を分割してAM-GMを適用するかを自分で設計する問題が中心です。

ありがちな失敗

  • 0や負の数が混じるのにAM-GMを使う
  • 等号条件を満たせない評価値を「最小値」と書く
  • 式をむやみに分割して逆に弱い評価にする