Cauchy-Schwarz不等式
Cauchy-Schwarz不等式は、平方和と内積を結ぶ道具です。 分数式評価や和の下界評価で頻出なので、基本形とEngel形の両方を押さえます。
基本形
実数 \\(a_1,\ldots,a_n, b_1,\ldots,b_n\\) に対して
等号成立は2つのベクトルが比例するとき、すなわち \\((a_1,\ldots,a_n)=t(b_1,\ldots,b_n)\\)。
2変数での展開証明
証明を見る
示すべき式は \\((a^2+b^2)(x^2+y^2)\\ge (ax+by)^2\\)。
よって成立。等号は \\(ay=bx\\) のとき。
ベクトル的な見方
内積を \\(\mathbf{u}\cdot\mathbf{v}\\) とすると、Cauchy-Schwarzは \\(|\mathbf{u}\cdot\mathbf{v}|\\le ||\mathbf{u}||\,||\mathbf{v}||\\) です。
「射影の長さは元の長さを超えない」という幾何の事実と同じ内容です。 比例条件が等号成立に対応します。
Engel形(Tituの補題)
正の数 \\(a_1,\ldots,a_n\\) に対して
分数和の下界を一気に作れるため、数オリ不等式で非常に重要です。
例題
例題1(基本形の直接利用)
実数 \\(a,b,x,y\\) に対し、\\((a^2+b^2)(x^2+y^2)\\ge (ax+by)^2\\) を示せ。
解答を見る
上の2変数証明と同じ。左辺−右辺を平方に落とせば終わる。
例題2(Engel形)
正の実数 \\(a,b,c\\) に対し、\\(\\frac{a^2}{b}+\\frac{b^2}{c}+\\frac{c^2}{a}\\ge a+b+c\\) を示せ。
解答を見る
Engel形より
等号は \\(a=b=c\\)。
例題3(分数式の下界)
正の実数 \\(x,y\\) に対し、\\(\\frac{x^2}{y}+\\frac{y^2}{x}\\ge x+y\\) を示せ。
解答を見る
2項のEngel形で
等号は \\(x=y\\)。
AM-GMとの使い分け
- 積・平均・対数的な形が中心ならAM-GM
- 平方和・分数和・内積の形ならCauchy-Schwarz
- 両方使える場合は、等号条件が目標と一致する方を選ぶ
ありがちな失敗
- Engel形で分母の正条件を確認しない
- 等号条件(比例条件)を追わない
- AM-GMで済む問題に無理にCauchyを当てて式を重くする
大学受験では型が見えやすい問題が多いですが、数オリでは「どの形に変形すればCauchyが刺さるか」を自力で作る必要があります。